エリザベス・"ベティ"・ロビンソン（Elizabeth "Betty" Robinson 1911年8月23日生）［アメリカ・陸上競技選手］
イリノイ州生まれ。ロビンソンは16歳で初めて100mを走ったときに、アメリカ記録保持者に次いで2位という結果を残し、次のレースでは非公認ながら世界タイ記録を樹立する。1928年アムステルダムオリンピックは女子の陸上競技がオリンピックに採用された最初の大会であった。大会が開催されるまで女子陸上競技は予定には入っていなかった。開催予定に含めるかどうかは委員会の間でも大いに論争となっていたが、女子陸上選手参加が晴れて解禁となり、ロビンソンは100mに出場。彼女にとって4回目の100mのレースであったが予選を勝ち抜いた後は決勝で10秒2の世界タイ記録を樹立し金メダルを獲得。オリンピック女子100mの初代チャンピオンに輝いた。彼女はさらに4×100mリレーにも出場し、銀メダルを獲得した。
1932年ロサンゼルスオリンピックでの活躍も期待された矢先の1931年、ロビンソンは飛行機事故に遭い、重傷を負ってしまった。病院で緊急手術を受け、約2ヶ月間意識不明の状態が続いたが、懸命の治療で一命を取り留めた。その後数ヵ月間は歩く事すらままならず、選手生命は終わったと思われたが、再起へ向け粘り強くリハビリを続け、幸運にも復帰することができた。
ロビンソンは事故の後遺症により、ひざまずくことができずクラウチングスタートができなくなっていたため、リレーに転向した。そして、事故から5年後の1936年ベルリンオリンピックに4×100mリレーのアメリカ代表として選ばれ、第3走者として出場。圧倒的な優勝候補であったドイツがバトンミスで失格したため、ロビンソンは8年ぶりに金メダルを獲得した。
ベルリンオリンピック後に現役引退したロビンソンは、主婦業の傍ら、競技役員としての人生を送り、1999年5月18日にアルツハイマー型認知症とガンで87歳で亡くなった。
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