ポケスペ

それぞれの想い
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ホウエンの危機を救って一年後、サファイア11歳。彼女は今日も秘密基地でオダマキ博士の研究の手伝いで、フィールドワークをしている。
そんな中、サファイアはため息を一つ、つくと、バシャーモを見つめて困った表情を浮かべながら体育坐りをして語り出す。

ちゃも「ちゃも、あんたは女の子やけん、あたしの悩みば聞いてくれるやろ?」

バシャーモは首を傾げている。

サファイア「ちゃも、昨日もまた、ルビーに嫌味ば言われたと。あの人あたしのこと嫌いとやろうか?」

ちゃも「バシャーモバシャ!(そんなことないよ!きっと愛情の裏返しよ)」

サファイア「そうやろうか//?でも、昨日だって、"キミはそんなだから、いつまで経っても、漢字が書けないんだよ。せっかくボクの貴重な時間を使ってるんだから、漢字の一つくらい覚えたらどうだい"って言われたと。あの男は、こっちは頼んどらんとに!」

サファイアは話しているとイラだってきたのか拳を握りしめて、今にも殴りそうな表情をしている。


一方その頃、ルビーは、"昨日は、言いすぎちゃったかな…あの子なりに頑張ってたんだし。それに、もう相手にしてもらえないのはごめんだ"とサファイアに悪態をついてしまったことを詫びようと、サファイアがきっといるであろう秘密基地に入ろうとした瞬間、サファイアの話し声がした為、思わず入り口で立ち止まり、影から見ることにした。


ちゃも「バシャーバシャバシャモ!(大丈夫。それもルビーくんなりの優しさよ。彼は素直になれないだけよ)」

サファイア「あの人の優しさ…確かに優しいところもあるったい。あたしに洋服ば作ってくれたり。お菓子の作り方ば教えてくれたり。ちゃも達のブラッシングばしたり。よかとこいっぱいあるとよ」


バシャーモは首を傾げている。
サファイアは体育坐りをしていたが、いきなり立ち上がり、思い出を噛みしめるような表情をしてニッコリ笑い語り出す。

サファイア「あの人の笑顔が好き。いい景色を見た時の横顔も、裁縫をしてる姿も、コンテストで一生懸命な姿も、男の癖に色気付いて化粧ばしとる姿も、全部好きったい!あと、一緒にいるとなんか懐かしい気持ちになるったい」


バシャーモ「バシャバシャモー!(それほど、ルビーくんの事、見てるんだね)」

サファイア「当たり前たい!小さか頃からずっと好きだったとよ。80日の約束だって、あの人って直感で分かったけん、切り出したったい!」

バシャーモ「シャモバシャ(2人は赤い糸で繋がられてるのね)」

サファイアは、バシャーモに言われて照れて耳まで真っ赤になる。

サファイア「そげな赤い糸とか本当に運命ってあるとやろうか//?もし、運命だとしたら、ポケモンバトルで勝った時よりも嬉しかったい//!こげな幸せなかって思うとよ//」

バシャーモは黙って聞いている。
サファイアの声は思っている以上に大きい為、響いて聞こえてくるとルビーは顔を真っ赤にして“サファイア聞こえてるって//"と思って見ていると

『ガタン』

サファイアと一緒に食べようと思って、持ってきていた彼が手作りしたケーキを落としてしまった。
"しまった…⁉ボクとしたことが…"と思っているのも束の間、彼女は、耳も良い為に音がする方に駆け寄ってくる。

サファイア「ルビー!あんた、いつから居ったと?」

ルビーは咄嗟に嘘をつく。

ルビー「今来たところかな♩それより、昨日のお詫びに持ってきたんだけど、落としちゃったんだ…新しいのを持ってくるよ」

ルビーが新しいのを取りに帰ろうとするとサファイアがルビーの腕を掴んでニッコリ笑顔を浮かべて

サファイア「勿体ないったい!箱に入っとったら中身は食べれるけん、新しいのに変えんでもよかよ。小腹が空いてきたったい!早よ、食べたかッ!」

ルビーは彼女に言われるとそれもそうだと思い、ケーキの箱を拾うと秘密基地の中へ入り2人でケーキを食べる。

そうしていると、日も暮れて綺麗な夕焼け空が秘密基地から見える。

サファイア「綺麗な夕焼け空ったい!」

ルビー「こんなに綺麗な夕焼け空は久しぶりに見たよ」

そう言ってルビーは、鞄からカメラを撮りだしパシャリと写真を撮った。

サファイア「本当、あんたって何でも写真撮りたがるんやね?」

ルビー「いいじゃないか!美しいものは残しておくのがボクの主義だからね!」

ルビーは鞄にカメラをしまう。
サファイアは、そんな彼の姿を見て小さな声で呟くように言う
サファイア「あんたのそげな姿、嫌いじゃなかよ//」

夕焼け空のせいかそれとも彼女が照れて赤くなっているように見えるのかは分かりづらいが、ルビーは彼女を見つめていた。

サファイア「そろそろ、帰るったい//早よ帰らんと父ちゃんが心配するけんね//」

サファイアは思わず言ってしまった言葉に恥ずかしくなり、慌てて立ち上がると秘密基地の入り口まで歩き出す。すると、後ろからルビーに右手を掴まれた。

サファイア「いきなり、何するったい⁈」

ルビー「一緒に帰ろう?」


サファイア「当たり前ったい!今更、何ばいいよると?」

サファイアはルビーの言葉に首を傾げた。

ルビー「ここは山道だし危ないんだ。暗くなってきたし、道も見づらくなってくるからね」
得意気にウインクをしてカッコつけて手を握る。

サファイア「こげなとこ、慣れとるけん大丈夫ったい//」

サファイアは、彼の行動や言葉に顔を真っ赤にしている。
2人は歩き出して、ルビーはサファイアに気づかれないように握り方を恋人繋ぎに変えた。

サファイアに聞こえるか聞こえないかくらいの声で呟くように

ルビー「これが告白の返事…」

サファイアは、ルビーと手を繋いで歩いている事に恥ずかしさと嬉しさで頭がいっぱいになっている。
サファイア「ルビー、今何か言わんかった//?」

ルビーは、意地悪な笑みを浮かべて
ルビー「何でもないよ。ただの独り言さ♩」

サファイア「あんたって人は、独り言の多か人ったい!」

ルビー「キミに言われたくないな〜」

サファイア「…ッ//あんた、やっぱり聞いとったとね//?」

ルビー「だから、何も聞いてないって!」

また、2人は言い合いになっているが、握った手は振り解く事なく繋いだまま、ミシロヘと帰って行くのだった。

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